オーケストラの楽譜を見ていると、リタルダンド(rit.)やラレンタンド(rall.)という指示をよく目にしますよね。
どちらも「だんだん遅く」という意味ですが、実は微妙なニュアンスの違いがあるんです。
「どう違うの?」とモヤモヤした方も大丈夫!この記事で、簡単にわかりやすく整理していきますよ♪
「ラレンタンド(rall.)」と「リタルダンド(rit.)」の違いは?
結論:意味はほとんど同じ。でもイメージがちょっと違う。
どちらも「テンポをだんだん落とす」ことには変わりません。
- ラレンタンド(rall.):テンポを「遅くする」「引き延ばす」ように遅くする
- リタルダンド(rit.):時間に「遅れる」「立ち止まる」ように遅くなる

ん・・・?つまり??
どちらも演奏上遅くなることには変わりありませんが、イメージには違いがあります。
この違いを理解しておくと、演奏や曲の理解が変わってきます。
🎵 ラレンタンド(rallentando, rall.)
ラレンタンドはイタリア語の rallentare(緩める)が語源。
「だんだん遅くしていく」というイメージです。
例えるなら・・
電車が駅に近づいて、ブレーキを踏みながらスピードを落としていく感じ。

自分の意志で遅くしていくイメージ

ラレンタンドの中には「lent(o)」が含まれています。
lentoには「遅く」「ゆったりと」といった意味があるため、「lentoにしていく」と解釈することもできます。
🎵 リタルダンド(ritardando, rit.)
一方でリタルダンドは、 ritardare(遅れる)が語源。
「予定より遅れてしまう」みたいなニュアンスです。
例えるなら・・
電車が事故でダイヤより遅れて走っている感じ。

自分の意志は関係なく、予定されていた時間よりも遅れるイメージ

🎵 rall. や rit. に似ている楽用語
リテヌート(ritenuto)
同じく「r」から始まるリテヌート(ritenuto)。
イタリア語の tenere(保つ)(抑える)が語源。
頭に ri (再度)が付くことで、「再度保つ」や「再度抑える」といったニュアンスになります。
ラレンタンドやリタルダンドと似ていますが、「だんだんと」が付かないので、その小節でパッと遅くする必要があります。
例えるなら・・
急に体に重さがかかって、前に進みづらくなる感じ。

スローモーションみたいな?
モレンド
モレンド(morendo)はmorire(絶える)(消える)が語源。
ラレンタンドやリタルダンドと同様に -endo が付くことで「だんだん」というニュアンスが含まれます。
今までの3つとは違い、テンポを遅くするというよりは弱くなっていくイメージです。
例えるなら・・
光がだんだん弱くなって消えていく感じ。

フェードアウトに近いね!
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「フェルマータ」はバス停なんだって!?
まとめ
イタリア語の感覚でいうと、rallentando が「速度が段階的に遅くなる感覚」、ritardando は「時間に遅れる感覚」です。
どちらも遅くなることには変わりませんが、この違いを知っていることで表現のニュアンスが変わるかもしれません。
・なぜそこでテンポが変化するのか?
・なぜラレンタンドではなくてリタルダンドなのか?
音楽記号を理解しておくことで、演奏の楽しさはもっと広がりますよ!