演奏中、咳や足音と同じくらい気になるのが、譜めくりの音。
特に静かな場面では、「バサッ」という音が想像以上に響きます。
この記事では、譜めくり音が「うるさく」感じる理由と、その対策をオーケストラ歴25年の視点から解説します。

譜めくり音に気づく人は、音楽を大事にできている人!
譜めくり
🎼 譜めくりの回数って、どのくらい?
譜めくりの回数は、使っている楽譜やパートによって意外と違います。
近代の曲になるほど演奏時間が長く、譜めくりの回数も多くなる傾向があります。
たとえば、こんな感じ:
譜めくり回数の一例 | 1st ヴァイオリン | フルート 1 | トランペット 1 |
---|---|---|---|
ベートーヴェン: 交響曲第5番 | 6 回 | 3 回 | 2 回 |
シューマン: 交響曲第4番 | 5 回 | 4 回 | 2 回 |
マーラー: 交響曲第9番 | 12 回 | 7 回 | 3 回 |
🎼 弦楽器は要注意?
弦楽器は、ひとつのパートに4~10人近くいることが多いですよね。
編成が大きくなると、それだけ音も大きくなります。
譜めくりの人数が多い + 回数が多いというのは、静かな曲中だと特に目立ちやすいので注意したいポイントです。
弦楽器は1パートの人数(同じ楽譜を使う人数)が多いため、編成が大きくなるほど音も大きくなります。
人数も譜めくり回数も多く、客席にも近い弦楽器は、特に注意しましょう。
🎼 タイミングがそろうと、音も大きく…
複数人が同じタイミングで一斉に譜めくりすると、思った以上に大きな音になってしまうことがあります。
しかも、曲が静かな場面でそのタイミングが来てしまうと、かなり目立つことに。

客席まで聞こえてくることもあるよ
気をつけたい!譜めくりで出やすい音
- 紙がめくれる音
- 服が擦れる音
- 腕の関節が鳴る音
- 持ち替えた楽器をぶつける音
- 「よいしょ」など無意識の声
- 椅子がきしむ音
- 筆記用具を落とす音
- 楽譜を落とす音
- 譜面台を倒す音

譜めくりは事故が起こりやすいタイミング
どうして音が出てしまうの?
譜めくりの音には、「楽譜側の原因」と「奏者側の原因」があります。
それぞれ、チェックしてみましょう。
🎼 楽譜側の原因
- 製本で紙が重なり厚くなっている
- ノリ付けで紙が硬くなっている
- ノリやテープでページがくっついてしまっている
- 雑な製本でめくりにくくなっている
🎼 奏者側の原因
- めくる勢いが良すぎる
- タイミングを合わせすぎる
- 関節が固まっている
- 譜面台上に筆記用具を置く
- 譜面台に多くの楽譜を乗せすぎる
- 譜面台に袖や足を引っ掛ける
- 譜面台や椅子の調整が悪い
- 楽器を持ち替える(左手に弓を持ち替える等)

持ち替える時に弓をぶつけちゃいがち
静かにめくるための方法
では、どうしたら静かに譜めくりできるのでしょうか?
以下のポイントをぜひ試してみてください。

- 製本方法を見直す→「製本方法(図解)」で詳しく!
- ゆっくりとめくる(前後の体の動きもゆっくり)
- 楽譜の下の角をつまむ
- 紙をつまんだ指を真横に引かず、少し持ち上げるようにめくる
- 他のプルトとタイミングをずらす
- 曲の音量が大きい所でめくる
- 譜面を切り貼りして譜めくり位置を調整する
- ドッグイヤーを付けておく
- 邪魔なものを譜面台に置かない
- 表の人がめくる(指示があった場合のみ)
- 椅子や譜面台のがたつきを調整しておく
まとめ
音は、いくつもの小さな要因が重なって出てしまうことが多いので、ひとつずつ工夫して取り除いていきましょう。
また、譜めくりの瞬間は奏者が一時的に減るため、パート全体の音量バランスにも気を配れると、さらに良くなります。