アマチュアオーケストラにとって選曲は、不平不満が出やすいイベントでもあります。
メイン曲が金管楽器の出番が少ない古典作品でも大丈夫!
プログラム構成やプラスアルファの演奏で、団員のモチベーションや参加意欲を維持する工夫を解説。

弦は“降り番”の感覚が無いから忘れがち
- 複数の時代の曲を組み合わせる
- 金管楽器メインの小曲を入れる
- プログラム外で金管アンサンブルを演奏する
オーケストラと選曲
アマチュアオーケストラの選曲は、団員の構成や技術レベル、希望、会場の規模、指揮者の意向などを考慮しましょう。
趣味の演奏会であれば、「団員がやりたい曲」を選ぶことは大切です。
弦楽器はどの曲でも楽譜がある一方で管楽器、中でも金管楽器は、曲によって編成が大きく異なるため考慮が必要です。
オーケストラにおける金管楽器
歴史(産業革命)
古典派の時代は、製造過程の技術的な限界により、演奏の幅にも制限がありました。
19世紀頃に始まった産業革命により金属加工技術が発達し、現在のような演奏が可能になりました。
- 精密で均一な金属加工によって音質の安定性が向上
- バルブシステム(回転式・ピストン式)が発明され、音程を自由に変更可能に
- 大量生産によって価格が下がり、一般に普及
金管楽器の種類
ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、バストロンボーン、サックス、ユーフォニウム、コルネット、ワグナーチューバなど

団員にチューバ奏者がいると曲探し大変かも
金管楽器の編成が小さな曲
ハイドン: 交響曲第94番 | モーツァルト: 交響曲第40番 | ベートーヴェン: 交響曲第7番 | |
---|---|---|---|
ホルン | 2 | 2 | 2 |
トランペット | 2 | . | 2 |
金管楽器の編成が大きな曲
ワーグナー: ニーベルングの指輪 | マーラー: 交響曲第8番 「千人の交響曲」 | シュトラウス: 「アルプス交響曲」 | |
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ホルン | 8 (4本はワグナー・チューバに持ち替え) | 8 (4本はワグナー・チューバに持ち替え)+12本(バンダ) | 8 |
トランペット | 3 | 5 | 4+2 |
トロンボーン | 3 | 4 | 4+2 |
バストロンボーン | 1 | – | . |
チューバ | 1 | 1 | 2 |

管が活躍する曲は、弦の演奏難易度が高いことも多いので注意
金管楽器を考慮した選曲
以下のような工夫で、金管楽器セクションも満足できるプログラム作りができます。
① 古典派とロマン派や近現代曲を組み合わせる
前半プログラム:モーツァルト
後半プログラム:ドヴォルザーク、シベリウス
金管楽器が「前半は少し待機だけど、後半がっつり吹ける!」と納得しやすいです。
② 序曲・ファンファーレを組み込む
- ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲
- ジョン・ウィリアムズ:オリンピック・ファンファーレとテーマ
金管楽器が主役になれる曲を加えると、バランスが良いです。
③ 金管アンサンブルを取り入れる
- 開演前や休憩中に金管アンサンブルを演奏をする
- アンコールで金管楽器中心の映画音楽や現代曲を取り入れる
出番がなくても「別枠で活躍できる!」と感じてもらえます。

金管楽器の編成が大きい曲は、ホール広さも必要
まとめ
選曲では、団員の希望や技術的な難易度だけでなく、団員がモチベーション高く演奏を楽しめる曲を選びましょう。
特に古典派の曲を扱う際は、編成的にバランスの取れたプログラム構成にできると良いでしょう。
アンコールやロビーコンサートなどプログラム外での演奏も、お客様にも喜ばれます。

オケの成長と団員のモチベ維持、両方叶う選曲を目指したいね