【バイオリンリレー】演奏中に弦が切れたら!?知っておきたい対応と方法

バイオリンリレー 演奏・練習

クラシック音楽の演奏会では、どれだけ準備を重ねても予期せぬトラブルが起こることがあります。
その代表例が、弦楽器の弦が切れてしまうアクシデント。
特にヴァイオリンは、演奏中に弦が切れることは珍しくありません。

そんなトラブルの瞬間に見られる、オーケストラならではの見事な連携プレー。
それが「バイオリンリレー」です。

くまリン
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演奏への影響を最小限にすることが大切。


バイオリンリレーとは、演奏中に弦が切れてしまった奏者が、他の奏者から楽器を受け取り演奏を続ける方法です。
あたかもリレーのバトンのように、壊れた楽器が舞台後方へ次々と手渡され、演奏を止めることなく対応するのがポイント。

これは、アマチュアからプロまで、多くのオーケストラで共有されている知恵と信頼のプレーです。

くまリン
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異変に気付けるように、演奏中は目と耳は広く使おう!

合奏中(練習中)に弦が切れたときは、バイオリンリレーはしません
自分自身で対処しましょう。

対応手順
  1. 演奏を中断し、同じプルトの人に一言声をかけ

  2. 演奏を邪魔しないように静かにチューニングする。

  3. 演奏の合間や楽章の切れ目など、演奏の邪魔にならないタイミングで席に戻る。
     ➢ 最後列の席が空いていれば、ひとまずそこで弾いてもOK
     ➢ 張り替え直後の弦はチューニングが不安定なため、こまめな確認が◎

  4. 予備弦を補充しておく。
くまリン
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予備弦、必ず持っておこうね!

\「プルト」についてはこちらで解説しています/

本番中に弦や弓がトラブルを起こした場合、バイオリンリレーの出番です。

手順
  1. 大きなリアクションや声はNG。静かに状況を判断する。
     ➢ 全体の演奏を止めないことが最重要

  2. 表(OUT)の弦が切れた場合、裏(IN)と楽器を交換する
     ➢ 裏(IN)が切れた場合はそのまま手順3 へ
     ➢ 肩当てと弓は交換せず持っておく

  3. 故障した楽器をすぐ後ろの裏(IN)と交換する。

  4. 交換を繰り返して故障した楽器を最後列まで送る。
     ➢ リレー完了後の対応は曲の構成により異なる

楽章の切れ間がある曲(交響曲や組曲)の場合:

 5. 最後列の裏(IN)は、舞台袖へ下がり予備弦を張り替えとチューニングをおこなう。
   ➢ 最終楽章であれば、そのまま自席で可能な限りの演奏をする。

 6. 演奏の切れ間が来るまで舞台袖で待機する。
   

 7. ステージマネージャーのキューに従って静かに自席に戻る。


 8. 逆の手順で楽器を元の持ち主に戻していく。


楽章の切れ間がない曲(序曲など)の場合:

 5. 最後列の裏(IN)は、そのまま自席で可能な限りの演奏をする。
   ➢ 舞台袖に下がると、舞台に戻るタイミングがないため

くまリン
くまリン

演奏中の再入場は基本的にしないからね

稀なケースですが、弓が破損することもあります。
その場合もバイオリン本体と同じリレーで対応可能。
多くの奏者はケースに予備の弓を入れているので、そちらと交換します。

くまリン
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弓が壊れてしまう動画をみつけたよ💦

こちらの動画では、0:18で「バキッ」という音とともに、弓が壊れてしまっています。

Stefan Jackiw公式YouTubeチャンネルから引用)

ヴァイオリンと同様に「ビオラリレー」もありますが、サイズの大きなチェロやコントラバスではリレーはありません
故障した楽器の奏者自身が舞台袖に下がるのが一般的です。

演奏会前のミーティングで、有事の際の対応を確認しておきましょう。

  • リレー方法の確認
  • 予備弦の確認
  • ステージマネージャーとの確認
  • ソリストがいる場合、より細かに確認(ソリストの弦を、団員が張り替えても良いか?など)
  • 予備楽器の確認(予備楽器を前に送るか?など)
\「予備楽器」についてはこちらで解説しています/

この「バイオリンリレー」は、日本のオーケストラに特有の文化とも言われています。
海外では弦が切れた場合、その場で替え弦をポケットから取り出して交換するのが一般的。

ただし、重要な奏者が演奏を止めると大きな影響が出るため、海外でも後方奏者と楽器を交換することはあります。

くまリン
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有名ヴァイオリニスト Ray Chen さんを例に解説したよ!


バイオリンリレーは、奏者同士の信頼関係と即時の判断力で支えられています。

弦が切れると、一瞬舞台に緊張が走ります。
何事もなかったかのように演奏し続ける人。
視線やわずかな合図で状況を察知し、すぐに楽器を差し出す人。
自分の演奏を止めて舞台袖に作業しにいく人。

こうした連携があってこそ、一つの音楽を守ることができるのです。

くまリン
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お客様がリレーに気づかなかったら、大成功

 

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