ヴァイオリンを弾く人なら、一度は悩んだことがあるはず――
「ヴァイオリン」と「バイオリン」、いったいどっちが正しいの?
オーケストラ界隈では「Vn」で通じるけれど、クラシックに詳しくない人には、どの表記がわかりやすいのか迷いますよね。
今回は、この二つの表記について
辞書・文化庁の基準・教育現場・音楽業界など、さまざまな視点から違いをわかりやすく解説します!

「Vn」って書いてても発音は「バ」だけどね
「バ」か「ヴァ」か?~正しい表記はどっち?~
📖 辞書での扱いは?
広辞苑や現代国語辞典など、多くの国語辞典では、「バイオリン(ヴァイオリン)」のように、「バイオリン」が主表記、「ヴァイオリン」は補足的な扱いとなっています。
バイオリン(ヴァイオリン)――弓で弦をこすって音を出す弦楽器(広辞苑第七版・岩波書店)
つまり、日本語の辞書上では「バイオリン」が標準的な表記とされています。
📖 文化庁の基準では?
文化庁が示す「外来語表記基準」(旧ガイドライン)では…
- 英語の「violin」は [v] の音を含むため、本来の発音に近いのは「ヴァイオリン」。
- ただし、日本語では [v] 音を [b] 音で代用するのが慣例。
- 「ヴァ」は発音を忠実に再現したい場面で使われることが多く、日常では「バ」で問題なし。
v音は基本的に「バ行」で表記(外来語表記基準)
1991年に国語審議会による「外来語の表記」で「V」をそれまでの「バ」に加え、「ヴ」の表記が容認されました。
戦後一度は廃止された「ヴ」表記復活の際は、マスメディアは「バ」、文芸家協会は「ヴ」での対立があったそうです。
教育現場では、小学校では「バ」、中学校以降は「バ」で表記しつつ必要に応じて「ヴ」で表記するという指針が示されています。
📖 教育現場では?
- 小学校では「バイオリン」が基本。
- 中学校以降は「バイオリン」を使いつつ、「ヴァイオリン」も併記可。
つまり、教育現場の指針では「バイオリン」の表記が推奨されています。
📖 音楽の現場では?~オーケストラ界~
プロ、アマチュアを問わず、演奏会パンフレットや公式文書では、「ヴァイオリン」表記が主流です。
例:NHK交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団のHPなど

「バイオリン」は修正したくなっちゃうな…
📖 音楽の現場では?~音大、専門教育機関~
音楽大学や専門教育機関では、「ヴァイオリン」表記が好まれる傾向があります。
例:東京芸術大学、桐朋学園大学、東京音楽大学の専攻、カリキュラム表記など
📖 音楽の現場では?~初心者向けの教本や音楽教室~
一方で、初心者向けの教室や教材では「バイオリン」表記も多く見られます。
- 「バイオリン」表記
例:「セヴシック・バイオリン教本」
「新しいバイオリン教本」 - 「ヴァイオリン」表記
例:「ヴァイオリン音階教本(小野アンナ)」
「カイザー・ヴァイオリン教本」
「スズキメソード・ヴァイオリン指導曲集」
結局、どっちを使えばいいの?
表記 | 向いている場面 | 印象 |
---|---|---|
バイオリン | 辞書・日常会話・教育現場 | 一般的・親しみやすい |
ヴァイオリン | クラシック音楽界・プロ 公式パンフレット | 専門的・本格的 |
✅ どちらも間違いではありません。
✅ 文脈や場面に応じて、使い分けるのが自然です。
まとめ
- 辞書や日常会話では「バイオリン」
- クラシック音楽や専門分野では「ヴァイオリン」
- どちらを使うかは場面によって使い分けるのがベスト!

「ヴィオラ」か「ビオラ」か?も同じだね